民法(遺言・相続)が変わります ⑥

いつもありがとうございます。田川です。
今日は立春。冬至と春分の中間に当たる日で、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合は、
この日から立夏の前日までが春となるらしいです。

さて今回は、民法が変わります⑥
相続された預貯金債権の仮払い制度について書いてみます。

現在の法律では、被相続人(亡くなられた方)の遺産(預貯金)があった場合、
葬儀にかかる費用等をこの預貯金から捻出するには、相続人全員が預貯金から
葬儀費用を捻出することに合意した場合のみ払い出しが出来ます。
相続人全員の合意がとれなければ、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てと、
預貯金債権に対して仮分割の仮処分の申立てというものをしなければなりません。
 
これが改正後は、相続人の1人(長男)が他の相続人の利益を害さない限り、
単独で家庭裁判所に仮払いの申立てをすることが出来るようになり、
さらに、この家庭裁判所に申立てを行うこと自体が大きな負担となるため、
遺産に含まれる預貯金のうち相続開始時の預貯金額のその3分の1に、
相続人の1人(長男)の法定相続分(仮に相続人が兄弟3人の場合は、3分の1)
までは相続人の1人(長男)が単独で払い出しが出来るようになりました。
但し、金融機関ごとの仮払い上限額は150万円までとなっております。
あくまで遺産に属する預貯金債権の仮払い制度なので、
遺贈(遺言による贈与)などされている預貯金は仮払い制度の対象にはなりません。

もう少し具体的に・・・
お父様が亡くなられてその相続人がご兄弟3人で、遺贈(遺言による贈与)がなかった場合に、
遺産が預貯金1800万円のみで、お父様の葬儀等の費用が200万円であった場合、
この葬儀等の費用を長男が捻出するときに、
1800万円の3分の1=600万円、この600万円のうち長男の法定相続分3分に1の額の
200万円まで(金融機関ごとの上限額が150万円となりますので、複数の金融機関で手続きをした場合)
は長男が単独で金融機関から払い出しを受けることが出来るようになりました。

お葬式の費用など急に工面が出来ない費用についての救済がされたことになりますね。

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